頭痛の分類


頭痛の多くは、心配する必要のない慢性頭痛(機能性頭痛)です。

 

脳などの病気に伴う症候性頭痛は少ないようです。

 

「慢性頭痛(機能性頭痛)」


慢性頭痛(機能性頭痛)には、大きく分けて、緊張型頭痛、偏頭痛、群発頭痛の3つのタイプがあります。

 

「緊張型頭痛」

頭痛を訴える患者さんの大多数が緊張型頭痛です。

 

中年以降の首が細くて長い女性に多いようです。

 

ストレスや悪い姿勢などによる頭頚部の筋肉の過度な緊張が原因となります。

 

締め付けられるような、圧迫されるような、重たいような痛みが現れます。

 

うなじから後頭部に多く現れ、ひどくなると頭全体に広がります。

 

痛みは持続する事が多く、だらだらと数週間続く事もあるようです。

 

首、肩、背中にコリやハリを感じる事が多くあります。

 

朝より夕方のほうが症状は強くなり、目の疲れなども訴える事があります。

 

予防・治療法としては、良い姿勢を意識して、長時間同じ姿勢をとらないようにしましょう。

 

体をゆっくり大きく動かしたり、ストレッチを行うのも良いでしょう。

 

矯正治療や鍼治療が有効です。

 


「片頭痛」

2番目に多い頭痛です。

 

思春期に始まり、20歳代、30歳代の若い女性に多い傾向があるようです。

 

血管が拡張して起こるのですが、原因は不明です。

 

血管を収縮させるセロトニンという物質が急激に減少し、その結果、動脈の拡張が起こると言われています。

 

また、三叉神経の末端から、血管を拡張させるサブスタンスP などの物質が放出されるとも言われています(軸索反射が影響しているのかもしれません)。

 

 急に、左右いずれかにズキンズキンと脈打つような激しい頭痛が起こりますが、両側が痛む事もあります。

 

痛みは数時間から数日間持続するようです。

 

緊張型頭痛と違い、痛みは体を動かす事で増悪します。

 

また、吐き気や嘔吐を伴ったり、光や音に過敏になる事もあります。

 

前兆として、閃輝暗点(稲妻のような光が現れ、目の前が真っ暗になり、見え辛くなる症状)を伴う事もありますが、伴わない事の方が多いようです。

 

頭の中の血管が収縮した時、前兆の閃輝暗点(せんきあんてん)が現れ、その後、拡張して拍動性の頭痛が起こります。
 

この偏頭痛の痛みに対するストレスの為に、緊張型頭痛に移行する事も多いようです。

 

発作は、ストレスから解放された時に起こり易いと言われています。

 

ストレスが加わっている時は、血管が収縮ぎみになりますが、ストレスから解放されると血管が緩む為だと考えられます。

 

また、気圧の変化や月経も影響する事があります。

 

チョコレート、チーズ、アルコール(特に赤ワイン)などには血管を拡張させるチラミンが含まれる為、片頭痛の誘引となる事があります。

 

治療薬はエルゴタミンやトリプタン系薬剤があるようですが、トリプタンを習慣的に服用すると、トリプタン乱用頭痛が起こると言われています。

 

片頭痛も矯正治療や鍼治療が有効です。

 


「群発頭痛」

発生頻度は低く、中年男性に多い頭痛です。

 

有病率は、一般的には1000人に1人と言われているようです。

 

約1~2カ月間、毎晩、就寝中に何の前ぶれもないまま、目の奥がえぐられるような、目が握りつぶされるような、激しい痛みが生じます。

 

一旦発作が始まると、ほとんど毎日、決まった時間に片側の目の奥、おでこ、こめかみに激しい頭痛が1~2時間続きます。


眼球結膜の充血、涙が出る、鼻水、まぶたがむくむ、顔が赤くなる、発汗などの自律神経症状を伴います。

 

矯正治療や鍼治療は、自律神経を安定させるので、効果は期待できるでしょう。

 

また、発作の予防として、矯正や鍼治療で体調を整えておく事も良いでしょう。

 

飲酒や喫煙が発作を誘発する事が多い為、発作期間中は禁酒・禁煙する必要があります。

 

酸素をたくさん吸うと楽になる事もあるようなので、応急処置として、深呼吸も良いかもしれません。

 

「症候性頭痛」


「血管障害に伴う頭痛」

症候性頭痛では血管障害に伴う頭痛が多いようです。

 

血管障害に伴う頭痛には、脳出血、くも膜下出血、慢性硬膜下血腫な どがあります。

 

命にかかわる事もある、こわい頭痛です。

 

くも膜下出血による頭痛は特徴的で、突然、これまで経験した事が無いような激痛が頭全体に現れます。

ハンマーで殴られたなどと表現されています。

 


「非血管性頭痛」

非血管性頭痛には、脳腫瘍などがあります。

 

これも、こわい頭痛に入ります。

 

症状は、徐々に現れ、段々と増悪していきます。

 

頭痛の他の症状としては、運動麻痺、言語障害、精神症状などが重要になります。

 

手や足の麻痺、まっすぐ歩けない、急に字が下手になった、物をよく落とす、ろれつが回らない、言葉が理解できない、物が2重に見えたり、視野が半分欠ける、痴呆の様な症状などです。

 

髄液の感染症による髄膜炎でも頭痛は起こります。

 

これも、こわい頭痛です。

 

かぜと間違えやすく、長期にわたる頭痛と発熱は髄膜炎を考慮する必要があります。

 

また、吐き気や嘔吐を伴う事が多く、首を曲げて下を向く事が痛くて出来なくなります(項部強直)。

 

その他、眼科(緑内障)、耳鼻科(蓄膿)、歯科(虫歯)領域の疾患による頭痛や、かぜなどの全身の感染症による頭痛があります。

 

これまで、経験した事のない頭痛や、頭痛以外の症状が伴う時は、専門の医療機関を受診してください。