トリガーポイントによる胸部と上肢の痛み


トリガーポイント=TP C=頸椎 T=胸椎

 

図の✖印はTPの位置を示し、紫は関連痛の放散部を示す。

 

「大胸筋トリガーポイント」

「大胸筋の神経支配」 

外側胸筋神経(C5~C7)と内側胸筋神経(C8,T1)

 

 

左側の大胸筋TPによる痛みは、虚血性心疾患の痛みと間違われ易い。

 

また、虚血性心疾患の後に持続する胸部の痛みは、大胸筋TPが発生源になる事が多い。

大胸筋鎖骨部トリガーポイントによる胸と肩の痛み

 

「大胸筋鎖骨部トリガーポイント」

大胸筋鎖骨部TPからの痛みは、肩前面に強く現れ、鎖骨の下まで痛みが放散する事も有る(図1参照)。

 

「大胸筋鎖骨部」 

起始:鎖骨内側半分

停止:上腕骨の大結節稜

 

 

大胸筋肋骨部トリガーポイントによる胸と上肢の痛み

 

「大胸筋胸肋部外側部トリガーポイント」

大胸筋胸肋部外側部TPからの痛みは、胸部に強く現れる。

 

放散痛は、上腕内側に広がり、肘内側に強く現れる。

 

また、前腕前内側面や手の尺側、小指と薬指、中指の尺側にまで広がる事もある(図2参照)。

 

「大胸筋胸肋部」 

起始:胸骨前面、第2~6肋軟骨

停止:上腕骨の大結節稜

 

大胸筋腹部トリガーポイントによる胸と手の痛み

 

「大胸筋腹部TP」

大胸筋腹部TPは乳房に痛みを引き起こし、乳頭が過敏になる(図3参照)。

 

男性より女性に多い傾向がある。

 

「大胸筋腹部」

起始:腹直筋鞘の前葉

停止:上腕骨の大結節稜

 

 

 

大胸筋胸肋部内側部トリガーポイントによる胸と手の痛み

 

「大胸筋胸肋部内側部トリガーポイント」

大胸筋胸肋部内側部TPは、胸部内側に痛みを生じるが、痛みは正中線を越えない(図4参照)。

 

 

 

 

 

 

 

 

不整脈に関連するトリガーポイント

 

「不整脈に関連するトリガーポイント」

不整脈に関連するTPは、胸骨外側縁と乳頭の中間を通る垂線と、第5肋骨下縁との交差部に存在する。

 

上記の垂線と剣状突起下端に接する水平線の交差部に第6肋骨が存在する。

 

乳頭は第4と第5肋骨の間に存在する(図5参照)。

 

 

 

「鎖骨下筋トリガーポイント」

鎖骨下筋トリガーポイントによる胸と手の痛み

鎖骨下筋TPからの痛みは、鎖骨の下から上腕前面に広がる。

 

痛みは、前腕橈側と母指、示指、中指に放散するが、肘や手首には現れない(図6参照)。

 

起始:第1肋骨と肋軟骨の接合部

停止:鎖骨下面

 

神経支配:鎖骨下筋神経(C5,C6)

 

「小胸筋トリガーポイント」

小胸筋トリガーポイントによる胸と上肢の痛み

小胸筋TPからの痛みは、肩前面に強い痛みを生じ、胸部全体に広がる。

 

放散痛は、上腕から前腕内側に広がり、手の尺側から小指、薬指、中指にまで及ぶ。

 

小胸筋TPも虚血性心疾患に似た痛みを生じる。

 

起始:第3~5肋骨

停止:肩甲骨烏口突起の先端内側

 

神経支配:内側胸筋神経(C7~T1)

 

「胸骨筋トリガーポイント」

小胸筋トリガーポイントによる胸、肩、上腕の痛み

異常筋である胸骨筋の出現率は、東洋人に多く、日本人で約12.5%といわれている。

 

胸骨筋TPからの痛みは、虚血性心疾患による痛みとよく似ている。

 

痛みは胸骨全域から胸骨下部に現れる。

 

更に、上胸部から肩前面に広がり、上腕内側から肘内側まで放散する。

 

特徴として、胸骨筋TPからの痛みは、体の動きの影響を受けない。

 

胸骨筋TPは、胸骨筋のどこの部位にでも発生する。

 

胸骨筋の胸骨柄部と大胸筋、胸鎖乳突筋の胸骨部の起始部との合流点のTPは持続する空咳の原因となる事が有る。

 

胸骨筋の付着部位や神経支配は多種多様で、片側のみに存在する事も多い。

 

「斜角筋・上後鋸筋・前鋸筋トリガーポイント(図9)」

斜角筋・上後鋸筋・前鋸筋トリガーポイントによる痛み

斜角筋TP

体幹上部と上肢の痛み・1の図2参照

 

上後鋸筋TP

体幹上部と上肢の痛み・1の図10参照 

 

前鋸筋TP

 体幹上部と上肢の痛み・1の図11参照