腰椎すべり症・2


「腰椎変性すべり症」


変性すべり症と片側すべり症

正常な状態では、腰椎が前にズレようとしても、上関節突起が堤防の様に邪魔をし、腰椎は前にすべる事はありません(図5A参照)。

 

図5Bのように、上関節突起が変形して形が変われば、腰椎が前にすべる事を防げなくなります。

 

変性した上関節突起の間を、下関節突起が前にすべる為、腰椎が前にズレてしまいます。

この状態が腰椎変性すべり症です。

 

また、片側の上関節突起だけが変性を起こし、片側だけが前にすべる事もあります(図5C参照)。

 

この原因として、椎間関節面の非対称が考えられます。

 

左右に変性があっても、すべりの程度に左右差があり、ねじれながら前にすべる事もあります。

 

腰椎変性すべり症は40歳以上の女性に多く、腰椎4番によく起こると言われています。

 

腰椎変性すべり症は、腰部脊柱管狭窄症の代表的な原因疾患です。

 

「腰椎変性すべり症の症状」


初期には、椎間板のズレる力(せんだん力)による腰痛と、変性した椎間関節からの腰痛や下肢痛が起こります。

 

これも腰椎分離症や腰椎分離すべり症と同じく、腰椎変性すべり症に気付かずにいる人も多いようです。

 

どの程度すべると症状が現れるかは、個人差があるようです。

 

変性すべり症の脊柱管

すべりがひどくなると、痛みは両下肢に起こります。

 

ねじれがある場合は片側に強く症状が現れる事もあります。

 

片側のすべりでは、すべっている側の下肢に痛みやしびれが現れます。

 

図6のように、腰椎の後方部とすぐ下の骨の椎体後部で脊柱管が挟まれ、腰部脊柱管狭窄症の症状が現れます。

 

脊柱管狭窄症の典型的な症状は、歩いていると、お尻や両下肢が痛くなり、歩けなくなります。

 

しかし 、座るか、少し腰を丸めて休めば楽になり、再び歩けるようになります(間欠性跛行)。

 

症状がひどくなると、自転車に乗った時、お尻がサドルに当たる部分に感覚麻痺が起こり(サドル麻痺)、排尿・排便障害、性機能障害も現れます(馬尾症候群)。

 

また、神経根が圧迫されると坐骨神経痛も現れます。

 

「腰椎すべり症の治療」


腰椎すべり症の矯正は、すべっている骨のすぐ下の骨を、前方へ矯正します。

だるま落としのように素早く矯正する必要があります。

 

その他、矯正用ベットの骨盤部が1~2㎝下方へ落下出来る矯正用ベットで治療します。

 

矯正用ベットの骨盤部の角に、すべっている骨のすぐ下の骨を乗せて仰向けになります。

 

次に、股関節と膝を曲げた状態で、手によって、骨盤を素早く落下させます。

落下した瞬間、下の骨は急激に止まり、上の骨には後方へ動く力が加わります(慣性の法則)。

 

腰椎すべり症を起こしている部分だけでなく、背骨や骨盤のズレを矯正したり、鍼治療で経絡の反応点に治療を施します。

 

矯正により、背骨全体の動きとバランスが整えば、背骨の中にある水(脳脊髄液)の流れが良くなり、圧迫されている神経の循環も良くなります。

 

腰椎すべり症がある人でも、症状が全く無い人も沢山います。

 

腰椎すべり症の症状のある人は、腰椎すべり症以外に、腰痛や下肢痛の原因を持っている事が多いようです。

 

画像診断で腰椎すべり症だと診断されても、現在あらわれている症状とすぐに結び付けない方が良いでしょう。

 

腰椎すべり症・1