足根管症候群


「足根管症候群とは」

足根管

足の内くるぶし(内果)と、かかとの骨(踵骨)を結ぶ帯状の組織を屈筋支帯と言います。

 

この屈筋支帯と内果・距骨・踵骨に囲まれたトンネル状のスペースを足根管と言います(図1)。

足根管症候群

この足根管の中を足の裏から足の指へ行く神経(脛骨神経)・血管(後脛骨動脈・後脛骨静脈)・腱(後脛骨筋腱・長趾屈筋腱・長母指屈筋腱)が通っています(図2)。

 

この足根管という狭いトンネルの中で神経と動脈・静脈が何らかの原因で圧迫され足の裏や足の指にシビレや痛みを生じる疾患を足根管症候群と言います。

 

*内側足底神経と外側足底神経は足根管を出た後、母指外転筋により圧迫され障害される事もあります(図2・4)。

 

「症状」


脛骨神経の足底知覚支配領域

足根管の中で脛骨神経は内側足底神経・外側足底神経・内側踵骨枝に枝分かれしています。

 

痛みやシビレの分布はどの神経が侵されるかによって決まります。

 

シビレや痛みは、3つの神経全ての範囲に現れる場合や、1つの神経の範囲のみ、また2つの神経の範囲に障害が現れる事もあります。

 

*内側踵骨枝は足根管の手前で枝分かれし、足根管の中を通過しない事が多い為、踵に痛みやシビレが現れる        事は稀です(図4)。

脛骨神経の神経分布

足根管症候群の症状は、いずれの神経が障害されても、足底あるいは足指のピリピリ、ジンジンとしたシビレ感や疼痛が多く、感覚鈍麻(感覚が鈍くなる)、夜間痛、灼熱感(ほてり、熱感)、冷えを伴う事も有ります。

 

その他、足の裏に何か物が貼りついているような違和感を感じる事もあります。

 

症状は通常、歩くと悪化し、安静にすると楽になりますが、症状が進行すると安静にしていても痛むようになります。

 

内側足底神経と外側足底神経は足の裏(足底)の筋肉も支配しており、足根管で神経が圧迫されると、足の指の近位の関節(図2)の筋力低下や筋萎縮(筋肉がやせる)が起こります。

しかし、長指屈筋や長母指屈筋は、ふくらはぎで脛骨神経から神経支配を受ける為(図4)、足根管症候群で障害される事は無く、足指の遠位の関節の筋力が残る為(図2)、筋力低下を自覚する事は少ないようです。

 

「原因」


原因が明確でないもの、ガングリオンや腫瘍(できもの)、足根骨癒合症による骨の隆起、外傷による腫脹(はれ)や変形、長時間の歩行や立位、妊娠、出産、更年期などのホルモンの異常、関節リウマチによる変形、きつい靴による圧迫、足根管内の腱や腱鞘の炎症や浮腫、肥厚(腱鞘炎)、甲状腺疾患や糖尿病による神経の異常、扁平足により脛骨神経や屈筋支帯の伸張、動脈硬化や静脈瘤による圧迫などが原因となります。

 

「診断」


足根管症候 ティネル徴候

足根管部を圧迫したり、ハンマーで叩くと足の裏から指先に痛みやシビレが広がります(ティネル徴候)。

足部の内返しを強制し持続したり、又は外返しを強制し持続するとシビレや痛みが増悪する事が有ります(左図)。

 

足根管症候群では通常、レントゲン写真では異常は有りませんが,骨の変形が神経圧迫の原因と考えられる時はレントゲン検査が必要です。

 

足根管内の腫瘍(できもの)などが疑われる場合にはMRIや超音波検査が必要です。

 

腰椎椎間板ヘルニアや糖尿病による足のシビレ、筋肉からの関連痛などとの鑑別も必要です。

  

「治療」


まずは、骨盤、腰椎、胸椎、頚椎をチェックして全体のバランスを取るように矯正します。

全体の経絡の調節も行います。

足根管症候群と骨盤

骨盤の異常は足首にも影響し、骨盤が前に倒れると足首は外反し、後に倒れると内反する傾向が有ります(左図)。

足首が内反しても外反しても足根管内の圧力は高くなる為、足根管症候群の原因となる事が有ります。

 

又、腰椎に異常が有ると、足の神経や腱に炎症が起こり易くなります。

 

局所的な治療では、足根骨(図1)や足首の矯正を行います。

 

屈筋支帯は、ふくらはぎの筋肉からの筋膜(筋肉を包む膜)の続きで作られている為、ふくらはぎの筋肉の緊張は屈筋支帯の緊張につながります。

 

ふくらはぎの筋肉の反応点に鍼治療や徒手による治療をして緊張を緩めるのも有効です。

 

足の裏へ行く神経を圧迫する可能性のある母指外転筋、足根管の中を通る長母指屈筋・長趾屈筋・後脛骨筋の反応点もチェックして反応があれば治療します。