ヘルニアとは飛び出すと言う意味です。
骨と骨の間にはクッションの役割をする椎間板があります。
椎間板の真ん中には、髄核がお餅のあんこの様に入っています。
あんこの周りを線維輪がバームクーヘンの様に包んでいます(図1参照)。
バームクーヘンが破れてあんこが飛び出した状態が椎間板ヘルニアです。
20代~40代で多く発生すると言われ、中・高齢者で椎間板が薄くなっている場合、後方の線維輪(バームクーヘン)自体がつぶれて飛び出している事が多いようです。
腰の骨を腰椎と言います。
腰椎は5つの骨で構成されています。
腰椎の下には骨盤があり、その骨盤の真ん中の骨を仙骨と言います。
腰椎は仙骨の上に乗っています。
ヘルニアを一番よく起こす場所は、上から4番目と5番目の腰椎間にある椎間板です。
次によく起こす場所は、5番目の腰椎と仙骨間の椎間板です(図2参照)。
95%以上のヘルニアがこの2カ所で起こります。
図3の赤いラインは骨盤(腸骨稜)の高さを示します。
赤いラインが高いと4番と5番間で、低いと5番と仙骨間でヘルニアが起こりやすいと言われています。
腰椎の椎間板はソラマメの様な形をしているので、前に屈み、体をねじると、後外側の部分から裂けてきます。
また、後方の後縦靭帯(スジ)による補強が、外側では弱いので、後外側のヘルニアがよく起こります(図4参照)。
ヘルニアには突出型と脱出型があります(図5参照)。
突出型は更に2つのタイプがあります。
「突出型」
線維輪の裂け目の中に髄核が入り込んでいくのですが、線維輪または後縦靭帯は完全に破れずに膨らんだ状態です。線維輪や後縦靭帯の圧迫により腰痛が発生する事があります。
「突出型・1」
髄核が線維輪の裂け目を通って出た後、裂け目の中に髄核が残っている状態です。
これは矯正により髄核を中に戻すことは可能です。
「突出型・2」
髄核が裂け目を通って出た後、飛び出した髄核は残されて線維輪が閉じてしまった状態です。
これを中に戻すのは困難です。
突出してから、適切に矯正がされずに長く時間が経過したか、神経内側のヘルニアの可能性があります。
残された髄核は、時間が経てば、ある程度は水分が抜けてしぼんできます。
「脱出型」
線維輪を完全に破り、髄核が外に飛び出した状態です。
この飛び出した髄核を中に戻すのは不可能です。
この飛び出した髄核は、線維輪を破って外に出る際に、椎間板の周りの血管を破り血液に触れます。
血液の中には、ばい菌やごみを食べて体を守ってくれる白血球という細胞がいます。
白血球は、髄核を異物(ごみ)だと思い食べてしまいます(免疫反応)。
その時に起こる反応が炎症です。
脱出した髄核が食べられて無くなるのに、約3カ月程かかると言われています。
その間は炎症による痛みが続きますが、飛び出した髄核を白血球が食べ終わると炎症も痛みも無くなると言われています。