痛みについて・1


痛みは不快でとても嫌な感覚です。

又、臭いの様に慣れる事はありません(順応)。

痛みは必要なのでしょうか?

 

先天性無痛無汗症という病気があります。

 

この患者さんは痛みや温度を感じ取れない為に骨折したり火傷をしても気が付きません。

 

又、内臓の痛みも感じない為に手遅れになり致命的になる事もあります。

痛みは体を守るためには不可欠です。

 

日常生活では、熱い物を触った時や、とがった物を踏んだ時に無意識に手や足を引っ込めて体を守ろうとします(屈曲反射または逃避反射)。

 

又、痛みがあるので無理をしない、痛む動作は避ける等、痛みは危険を知らせてくれる重要なシステムです。

 

神経が図太い人という表現がありますが、この表現は無神経で鈍いような感じがします。

しかし、神経は太い方が速く正確な情報を伝えてくれます。

 

痛みを伝える神経には太い神経と細い神経の2種類があります。

 

太い神経は、どこが痛むのか素早くハッキリと脳に伝えてくれます。(皮膚の表面を刺すような痛み等)

 

細い神経は、どこが痛むのかハッキリしない、じわじわとした痛みを伝えてくれます。(内臓や筋肉の鈍い痛み等)

 

肘をぶつけた時、最初に感じる鋭い痛みは太い神経からの痛みで、その後じわじわと感じる痛みが細い神経からの痛みです。

 

神経を電車の線路に例えると、脳にも色々な停車駅があります。

 

太い神経は、特急電車のように寄り道をせず、痛みを感じる終着駅まで早く到着します。

 

細い神経は、各駅停車で不快を感じる駅、恐怖を感じる駅、又、冷や汗をかかせ、血管を収縮させる駅等に停車しながら痛みを感じる終着駅に到着します。

 

このように考えると、太い神経は素早く危険を知らせる働きがあるのに対して、細い神経は不安、恐怖、発汗、緊張など、色々な症状を引き起こすと考えられます。

 

逆に、不安や恐怖の感覚は細い神経の痛みに影響を与えると考えられます (不安になったり、落ち込んだりする事で、それまで痛くなかった所が痛みだす等。また、気分が良い時は痛みが抑えられます)。

 

太い神経は危険を知らせる重要な働きをしているようですが、では細い神経が引き起こす症状は必要なのでしょうか?

 

人は体に色々な症状が現れて不安や恐怖を感じるから養生をするのかもしれません。

 

しかし、体を守る為の痛みでも、不安、恐怖、緊張が続けば、食欲や睡眠が妨げられ、血液の循環も悪くなり、筋肉も緊張します。そして痛みも強くなります。この事がストレスになり、さらに悪い状況へ至ります。

これを痛みの悪循環と言います。

 

又、不快な痛みが長く続くと、痛みを与える刺激に対して過敏になったり(痛覚過敏)、衣服が触れるなど、普通では痛みと感じない刺激でも痛みとして感じるようになります(アロデニア)。

 

更に、その痛みが脳に記憶され(痛みの可塑性)、悪い所が良くなった後でも痛みが続くようになると言われています。

これを慢性痛と言います。

 

切断されて無くなった足が、まだ有るかのように痛む事があると聞きますが(幻肢痛)、これも脳での痛みの記憶が影響していると言われています。

 

また、切断された神経の末端からの痛みとも言われています。

しかし、まだ不明な点も多いようです。

 

細い神経は不快な症状を引き起こす事で、色々な情報を与えてくれますが、長く続くと悪影響も多いようです。


痛みと体が知らせてくれる情報から早く原因を見つけ、適切な治療をして痛みを解消する事が大切です。

 

その他、脳出血や脳梗塞後の痛み等の中枢神経自体が壊されて起こる痛みや、帯状疱疹や糖尿病の神経障害や幻肢痛等の末梢神経自体が壊されて起こる痛みの神経障害性疼痛があります。

 

これは、痛みを伝える神経自体の障害です。

 

*細い神経はC線維と呼ばれ、この通り道を旧脊髄視床路と言います。
太い神経はAδ線維と呼ばれ、この通り道を新脊髄視床路と言います。