トリガーポイントによる体幹上部と上肢の痛み


トリガーポイント=TP C=頸椎 T=胸椎

 

図の✖印はTPの位置を示し、紫は関連痛の放散部を示す。

 

「肩甲挙筋トリガーポイント」

肩甲挙筋トリガーポイントによる首から背部の痛み

肩甲挙筋はTPを発生させる頻度の高い筋の一つです。 

 

肩甲挙筋TPからの痛みは、首と肩の移行部に強く現れ、肩甲骨内側縁および肩の後方に痛みを放散させる。

 

下方のTPは肩甲骨下角に痛みを放散させる事がある。

 

これらのTPにより障害側への首の回旋が制限される。

 

起始:C1~C4横突起後結節 

停止:肩甲骨上角から肩甲骨内側縁上部

 

神経支配:肩甲背神経(C5~C6)

 

「斜角筋トリガーポイント」

斜角筋トリガーポイントによる胸、上背部、上肢の痛み

中・後斜角筋の下部TPは、持続した痛みを胸筋部に2本の指の様な形に放散させる。

 

前斜角筋上部および中斜角筋TPからの痛みは、肩の前部に放散し、上腕の前面と後面を通り、肘を通過し、前腕橈側から母指と示指に波及する。

 

*肩前部の痛みは棘下筋からの関連痛ほど深部に達しない。

 

これらの関連痛が左に起こると狭心症と間違われる事がある。

 

前斜角筋TPからの背部の痛みは、肩甲骨内側縁の上半分に放散する。

 

まれに最小斜角筋TPからの痛みが、上腕外側面に広がり、肘をとばして前腕後部から手背と指全体に広がり、痛みは母指に強く放散される。

 

起始:前斜角筋(C3~6横突起前結節)、中斜角筋(C2~7横突起後結節)、後斜角筋(C4~6横突起後結節)、最小斜角筋(C6,C7横突起前結節)

 

停止:前斜角筋(第1肋骨の前斜角筋結節)、中斜角筋(第1肋骨の鎖骨下動脈溝の後方)、後斜角筋(第2肋骨上縁)、最小斜角筋(胸膜頂、第1肋骨内側縁)

 

神経支配:筋付着の位置に応じてC2~C8までの脊髄神経前枝

  

「棘上筋トリガーポイント」

棘上筋トリガーポイントによる肩と上肢の痛み

棘上筋TPは、肩外側の深部に痛みを生じさせる。

 

痛みは通常、上腕から前腕の外側に広がる。

 

痛みは肘外側に強く集中し、まれに手首まで放散する(図3・4参照)。

 

特に肩関節の外転時に強く痛む。

 

棘上筋、棘下筋トリガーポイント

起始:肩甲骨後面の棘上窩

 

 停止:上腕骨大結節

 

神経支配:肩甲上神経 (C4~C6)

 

  

「棘下筋トリガーポイント」

棘下筋トリガーポイントによる首、上背部、上肢の痛み

棘下筋の上部2つのTPからの痛みは、肩前面の深部に感じられる。

 

痛みは上腕前外側、前腕外側、手の橈側、時に手指にも放散される。

 

また痛みは後頭下から後頚部の領域に放散される事がある。

 

上部2つのTPの内、内側のTPの方が高頻度に生じる。

 

棘下筋の下方内側にまれに生じるTPは、肩甲骨内側縁に痛みを放散させる。

 

起始:肩甲骨後面の棘下窩

停止:上腕骨大結節

 

神経支配:肩甲上神経(C4~C6)

 

「小円筋トリガーポイント」

小円筋トリガーポイントによる肩の痛み

小円筋TPは、肩後方で三角筋付着部の上方に、鋭く限局した深部痛を生じさせる。

 

起始:肩甲骨外側縁

停止:上腕骨大結節

 

神経支配:腋窩神経(C5,C6)

 

「大円筋トリガーポイント」

大円筋トリガーポイントによる肩、上腕、前腕の痛み

大円筋の2つのTPは、肩後面から上腕後側に痛みを放散させる(図6・7参照)。

 

まれに前腕背側にも痛みを放散する事があるが、肘には痛みを放散しない。

 

起始:肩甲骨下角背面

停止:上腕骨小結節稜

 

神経支配:肩甲下神経(C5,C6、C7)

「広背筋トリガーポイント」

広背筋トリガーポイントによる背部と上肢の痛み

後腋窩ヒダ部の広背筋TPからの痛みは、肩甲骨下角部に集中し、中背部に放散される。

 

痛みは肩後部にも広がり、上腕から前腕内側を下行し、手の尺側、薬指、小指にも放散する事が有る(図8上図参照)。

 

 

 

 

図8下図に示す、まれに現れる広背筋TPは、広背筋の肋骨起始部近位にある。

 

このTPからの痛みは肩の前部に放散する。

 

起始:①T7~T12とL1~L5棘突起、正中仙骨稜(胸腰筋膜を介する)、②腸骨稜の後部1/3、③第9~12肋骨、④肩甲骨下角

 

停止:上腕骨小結節稜

 

神経支配:胸背神経(C6~8)

 

「肩甲下筋トリガーポイント」

肩甲下筋トリガーポイント」による肩甲骨、肩、上腕、手の痛み

肩甲下筋TPからの痛みは、肩後面に強く現れる。

 

放散痛は、肩甲骨部と上腕背側から肘背側まで広がる。

 

手首の周囲にも関連痛が現れ、特徴として掌側面より背側面に強く痛みと圧痛が現れる(図9参照)。

 

肩関節の外転および外旋が制限され「五十肩」と診断される事が有る。

 

起始:肩甲骨前面の肩甲下窩

停止:上腕骨小結節

 

神経支配:肩甲下神経(C5、C6)

  

「上後鋸筋トリガーポイント」

上後鋸筋トリガーポイントによる痛み

上後鋸筋TPからの痛みは、肩甲骨の上方部の深部に強く現れる。

 

痛みは肩後面にも現れ、上腕後側から前腕内側に放散し手の尺側と小指全体に広がる事もある。

 

安静時に強い深部痛を訴え、痛みは動作によってあまり変化しない。

 

起始:C6~C7とT1~T2棘突起

停止:第2~5肋骨の肋骨角の外側

 

神経支配:肋間神経(T2~T4)

 

 

 

「前鋸筋トリガーポイント」

前鋸筋トリガーポイントによる体幹と上肢の痛み

前鋸筋TPからの痛みは、側胸部と肩甲骨下角の内側部に現れる。

 

さらに痛みは上腕から前腕内側を下行し手掌に達し、小指と薬指に広がる事が有る。

 

まれに乳房の過敏を起こす事もある。

 

起始:第1~第9肋骨

停止:肩甲骨内側縁

 

神経支配:長胸神経(C5~C7)